「PayPayで払えますか?」「カードは使えますか?」——マルシェや手づくり市、ハンドメイドイベントでも、キャッシュレスで払いたいお客さまが増えています。現金しか使えないと、欲しいのに買えずに帰ってしまうお客さまが出てしまうこともあります。
ただ、出店は月に数回だけという人も多く、出店しない月にも費用がかかるサービスや、高い端末を選ぶと元が取れないこともあります。この記事では、マルシェ・イベント出店に合う3サービスを、使わない月の費用・屋外での使いやすさ・ネットショップとの連携で比較しました。
この記事のポイント
- 月に数回の出店ならSquare、手持ちのiPhoneで0円から始めるならAirペイ
- 月2回出店・1回5万円の場合の、1年目のコストと端末代の元が取れるまでの期間を試算
- 屋外での通信、レシートとインボイス、ネットショップとの連携を解説
- 開業届がない副業の作家さんの申し込み、導入の流れ、トラブル対策も紹介
結論:出店の回数と、手持ちのスマホで選べばOK

月数回の出店に
Square
リーダー4,980円・ネットショップ無料
iPhoneで0円から
Airペイ
リーダー0円(条件あり)
出店が多い人に
stera pack light
カード1.98%〜・端末1台で完結
マルシェ・イベント出店でキャッシュレス決済を導入するメリット・デメリット

経済産業省の発表によると、2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%。そのうちPayPayなどのコード決済は10.2%を占めています。
メリット
- 買い逃しが減る現金の手持ちが少ないお客さまも、その場で買ってもらえます。
- まとめ買いや高めの作品が売れやすい手持ちの現金を気にせず選んでもらえるので、単価が上がりやすくなります。
- おつりの準備が減る両替や小銭の用意、閉店後の現金の数え間違いが減ります。
- 売上の記録が自動で残るどの作品がいつ売れたかがわかり、確定申告の帳簿づけも楽になります。
- ネット販売につなげやすいイベントで知ってもらったお客さまに、ネットショップでも買ってもらえます。
デメリットと対策
- 決済手数料がかかる→ 月額0円のサービスを選び、売れた分だけ手数料がかかる形にする。
- 屋外では電波が弱いことがある→ 手持ちのスマホの回線で使えるサービスを選び、現金も受けられるようにしておく。
- 紙のレシートが出せないことがある→ 電子レシートや手書きの領収書で対応する。
- 審査に時間がかかることがある→ 出店日の1〜2か月前に申し込んでおく。
マルシェ・イベント出店でキャッシュレス決済を選ぶ5つのポイント

① 出店しない月に費用がかからないか
月に数回、あるいは季節ごとにしか出店しない場合は、月額0円で、決済した分だけ手数料がかかるサービスを選びましょう。端末代が高いサービスは、出店回数が少ないと元が取れるまでに何年もかかることがあります。
② 手持ちのスマホの回線で決済できるか
公園や広場、河川敷などの会場では、Wi-Fiがないのが普通です。スマホのモバイル回線(4G・5G)で決済できるサービスなら、電波が届く場所であればどこでも使えます。端末だけで通信する場合は、SIM(モバイル回線)に対応しているか確認しましょう。
③ 端末の軽さとバッテリー
テーブルひとつのブースでは、置き場所も電源も限られます。小さくて軽く、1日もつバッテリーの端末を選び、念のためモバイルバッテリーも用意しておくと安心です。
④ レシートをどうするか
プリンターのない端末では、紙のレシートは出せません。メールやSMSで送る電子レシートや手書きの領収書で対応するか、プリンター付きの端末を選びましょう。
⑤ ネットショップと一緒に使えるか
ハンドメイド作家さんなら、イベントでの販売とネットショップを同じサービスでまとめると、売上や在庫の管理が楽になります。
決済端末の種類
決済端末は、大きく次の3タイプに分かれます。
| 端末のタイプ | 特徴 | 向いているケース | 主なサービス |
|---|---|---|---|
| スマホ連携型 | 手持ちのスマホとカードリーダーをBluetoothでつなぐ。通信はスマホの回線 | 出店回数が少ない人、初期費用を抑えたい人 | Square リーダー、Airペイ |
| オールインワン型 | カード・電子マネー・QRを1台で受けられる。Wi-FiやSIMで通信 | 毎週のように出店する人 | stera pack light |
| QRコード決済のみ | QRコードを置き、お客さまのスマホで読み取ってもらう | まずはPayPayだけ受けたい人 | PayPay |
※税区分(各社公式の表記):Square:決済手数料は不課税、端末代・月額は税込/Airペイ:カード・iD・QUICPayは非課税、交通系IC・Edy・QRは課税(3.24%は税込)/PayPay(直接契約):決済システム利用料は課税(税別)
マルシェ・イベント出店向けキャッシュレス決済3選 比較表

2026年11月時点の公式情報をもとに、3サービスを比較しました。
| サービス | カード手数料 | 月額 | 端末代 | 通信 | ネットショップ |
|---|---|---|---|---|---|
| Square | 2.5% | 0円 | リーダー 4,980円 | スマホの回線 | 無料プランあり (手数料3.6%) |
| Airペイ | 3.24% (条件付きで 2.48%) | 0円 | 0円 (条件あり・ iPhone等は別途) | iPhone・iPadの回線 | — |
| stera pack light | Visa・Master 1.98%〜 | 0円 | 39,600円 | Wi-Fi (SIMはオプション) | — |
※Squareの2.5%は年間キャッシュレス決済額3,000万円未満・主要カードの対面決済の場合。Airペイのリーダー0円は「0円スタートプログラム」(新規申し込みで、期限内に審査を通過した場合に適用。予告なく終了する場合あり)によるもので、2.48%は「ディスカウントプログラム」の条件を満たしたカード決済のみです。stera pack lightの1.98%はVisa・Mastercardの小規模事業者向けの料率で、Visa・Mastercardの年間売上2,500万円以内などの条件があります。電子マネー・QRコード決済の料率は、各社の公式サイトで確認してください。
月2回出店・1回5万円(カード払い)の場合の1年目のコスト(試算)
カード払い(Visa・Mastercard)の売上が月10万円、年120万円の場合で比べました。
| サービス | 手数料/年 | 端末代 | 1年目の合計 |
|---|---|---|---|
| Square | 30,000円 | 4,980円 | 34,980円 |
| Airペイ | 38,880円 | 0円 | 38,880円 |
| stera pack light | 23,760円 | 39,600円 | 63,360円 |
※iPhone・iPadなどのスマホ代、SIMのオプション料金は含みません。Airペイは条件を満たすと2.48%(年29,760円)になります。
各サービスの特徴と向いている出店者

Square:月に数回の出店で、ネット販売もしたい人に
Squareは、4,980円・56gの小さなカードリーダーを手持ちのスマホとつなぐだけで、カードや電子マネーを受けられます。PayPayなどのQRコード決済は、アプリの画面にQRコードを表示して読み取ってもらう方式です(手数料3.25%)。通信はスマホの回線を使うので、Wi-Fiのない屋外の会場でも使えます。月額0円で、カード手数料は2.5%。入金は三井住友銀行・みずほ銀行なら翌営業日、振込手数料は0円です。無料で使えるネットショップ「Square オンラインビジネス」もあり、イベントとネットの商品・在庫をまとめて管理できます。開業届がない場合も、広告・名刺・過去の請求書や納品書など、販売している内容がわかる書類で事業の確認ができると案内されています。
▶ 関連記事:Squareの非対面決済を解説
Airペイ:手持ちのiPhoneで、初期費用0円から始めたい人に
カードリーダーは「0円スタートプログラム」(条件あり)で0円、月額も振込手数料も0円。iPhoneやiPadのモバイル回線(4G・5G)でも決済できるので、屋外の会場でも使えます。カード・交通系IC・PayPayなどのQRコード決済をまとめて受けられ、入金は主要3銀行なら月6回です。
▶ 関連記事:Airペイの手数料を徹底解説
stera pack light:毎週のように出店し、売上も大きい人に
三井住友カードの月額0円プランで、Visa・Mastercardは1.98%〜。約190gの端末1台で、カード・電子マネー・QRコード決済を受けられ、スマホとつなぐ必要がありません。通信はWi-Fiで、SIM(モバイル回線)はオプションです。カード払いの売上が大きいほど、手数料の安さが効いてきます(小規模事業者向けの料率、条件あり)。
▶ 関連記事:stera pack light徹底解説
出店スタイル別のおすすめ

| 出店スタイル | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 月1〜2回出店するハンドメイド作家 | Square | 端末代が安く、ネットショップも無料で開ける |
| 季節ごとに出店する・まずは試したい | Airペイ/Square | 月額0円で、出店しない月の費用がかからない |
| 毎週末出店する・売上が大きい | stera pack light | カード手数料が安く、売上が大きいほど得になる |
| 農家の直売(直売所とマルシェの両方) | stera pack light/Square | 直売所ではWi-Fi、マルシェではSIMやスマホの回線で使える |
マルシェ・イベント出店ならではの注意点

電波がない会場では、ほぼ決済できない
スマホ連携型も端末単体型も、決済には通信が必要です。Squareのオフライン決済は、磁気カードのスワイプのみが対象で、ICカードの挿入やタッチ決済は使えません(スワイプには別売の磁気ストライプリーダーなど対応機器が必要です)。また、オフラインで受けた決済は72時間以内にアップロードする必要があり、カードが承認されなかった場合は出店者の負担になります。山あいや地下の会場では、事前に電波を確認し、現金も必ず受けられるようにしておきましょう。
レシート・インボイスの対応
事業者のお客さまや、仕入れとして買う人からは、領収書やインボイス(適格請求書)を求められることがあります。Squareは、店舗情報に登録番号を入れておけば、レシートにインボイスの登録番号を表示できます。紙のレシートが出せない場合は、電子レシートを送るか、手書きの領収書を用意しておきましょう。
主催者のルールも確認する
イベントによっては、主催者が売上の報告を求めたり、使える決済方法を決めていたりすることがあります。出店要項を確認し、キャッシュレス決済を使ってよいか、のぼりや表示を出してよいかを確認しておきましょう。
申し込みから使い始めるまでの流れ・必要書類

どのサービスも、申し込みはWebで完結します。おおまかな流れは次のとおりです。
- Webで申し込む販売している商品、売上の振込先口座、本人確認書類などを登録します。
- 加盟店審査を受ける実際に販売しているか、扱う商品や価格などを決済会社が確認します。追加書類を求められることもあります。
- 端末の受け取り・初期設定アプリを入れて端末とつなぎ、商品と価格を登録します。
- テスト決済少額で決済と取消を試し、電子レシートや売上の記録を確認します。
- 出店の準備「カード・QR払いOK」の表示を用意したら、イベントで使い始めましょう。
審査・利用開始までの目安
| サービス | 審査・利用開始の目安(公式) |
|---|---|
| Square | 最短でアカウント作成の当日から決済可能。審査結果の通知は通常1〜2営業日(JCB・Diners・Discoverは別途審査があり、承認まで通常5〜15営業日) |
| Airペイ | 通常3日程度 |
| stera pack light | 約1週間〜2か月(コード決済は3か月以上かかる場合あり) |
※審査の状況や申込内容によって日数は変わります。出店日に合わせるなら、1〜2か月前の申し込みが安心です。
導入後のよくあるトラブルと対策

| よくあるトラブル | 対策 |
|---|---|
| 会場の電波が弱く、決済が止まる | 回線のちがうスマホやモバイルルーターを予備に用意し、現金も受けられるようにしておく |
| 途中でスマホや端末の電池が切れた | 前日に満充電し、モバイルバッテリーと充電ケーブルを持っていく |
| カードリーダーとスマホがつながらない | Bluetoothをオンにし、アプリとリーダーを最新にしておく。事前に一度つないでおく |
| 金額を間違えた・返品したい | アプリや端末から取消・返金ができる。操作方法を導入時に確認しておく |
| 領収書がほしいと言われた | 電子レシートを送るか、手書きの領収書を用意しておく |
| 解約したら費用がかかった | 契約期間の縛り・違約金、端末0円キャンペーンの条件(継続利用など)を申し込み前に確認する |
よくある質問

Q. 開業届を出していない副業の作家でも申し込めますか?
A. 申し込めるサービスがあります。Squareは、開業届がない場合でも広告・名刺・過去の請求書や納品書など、販売している内容がわかる書類で事業の確認ができると案内しています。審査に通るかどうかは申込内容によるため、作品や販売の様子がわかる資料をそろえて申し込みましょう。
Q. 電波がない会場でも決済できますか?
A. 基本的にはできません。Squareのオフライン決済は磁気カードのスワイプのみが対象で、承認されなかった場合は出店者の負担になります。電波が心配な会場では、現金も受けられるようにしておきましょう。
Q. 出店しない月にも費用はかかりますか?
A. この記事で紹介した3サービスは、どれも月額0円です。決済した分だけ手数料がかかるので、出店しない月の費用はかかりません(端末代やオプションは別)。
Q. カード払いのお客さまに手数料を上乗せしてもいいですか?
A. カード払いを理由に代金を上乗せすることは、決済サービスの加盟店規約などで禁止されているのが一般的です。手数料は経費として考えましょう。
Q. 決済手数料は経費になりますか?
A. 事業として確定申告をする場合は、「支払手数料」として経費にできます。詳しくは税理士さんや税務署に確認してください。
まとめ:出店の回数から逆算して選ぼう

マルシェ・イベント出店のキャッシュレス決済は、出店の回数と売上の大きさから逆算して選ぶのが近道です。月に数回の出店なら、高い端末より、月額0円で端末代が安いサービスのほうが負担は軽くなります。
- 月に数回の出店で、ネットショップも使いたい → Square
- 手持ちのiPhoneで、初期費用0円から始めたい → Airペイ
- 毎週のように出店し、売上も大きい → stera pack light
どのサービスも申し込みは無料です。次の出店日に間に合うよう、気になるサービスの公式ページで最新の料金と条件を確認してみてください。
▶ キッチンカーや移動販売で出店する人はキッチンカー・移動販売におすすめのキャッシュレス決済4選もあわせてご覧ください。
参考資料
※本記事の料金・条件は2026年11月3日時点の各社公式情報をもとにしています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。